魔法のチョコレート 第3話

私は渚に今おこっていることを説明した。
「え・・・そんじゃぁ、今目の前にいる私は琴音・・・なの?」
「そういうこと。」
「マジでぇ〜・・・・すっごいね!!!感動しちゃったよぉ!」
渚は鏡を見て興奮しだした。
「あの〜、渚?笑い事じゃないと思うけど・・・。」
「え!?だってすっごいもん!誰だって笑っちゃうって〜」
渚はアハハと笑い、また鏡をのぞき込んだ。
「琴音って、こう見ると美人だよねぇ♪」
こう見ると・・・ってどういう意味ですか。
「ね、多分私たち1ヶ月間入れ替わってると思うよ!」
渚がクルリと振り向いて私に言った。
「なんで・・・?」
「だって、店主のおばあさんが1ヶ月はもつ。って言ってたじゃん。」
あ・・・・そういえば。あの1ヶ月って、このことだったの!?
「じゃぁ、私は今から琴音の家に帰るね!」
渚はバイバイ〜と手をヒラヒラ振りながら部屋を出て行った。
これから1ヶ月も渚の姿でいなくちゃなんないの?先が思いやられる・・・


翌日、私は渚の制服を着て学校に行った。
「おはよ!」
渚が後ろからドンとぶつかってきた。
「あ・・・なぎっ・・・・んぐ!」
私が渚の名前を呼ぼうとしたら、渚はいきなり私の口をふさいできた。
「ちょっと琴音!学校では私のことは琴音って呼んでちょうだい!」
あ、そっか・・・私たち入れ替わってるんだもん。でも、自分の名前を呼ぶなんて、変な感じ。とてつもない違和感だ。
「オイ、堀田。」
赤坂くんが渚に言った。私は危うく、「なに?」と言ってしまうところだった。ダメダメ。今は渚なんだから・・・。
「あ、繭・・・じゃなくてぇ、赤坂くん。なにか用?」
渚はいつもの私みたいにドギマギした感じで言った。渚ってば、演技うまーい!
「昨日150円借りてただろ?そのお返し。」
赤坂くんはハイと渚に150円を渡した。
「あ、ありがとう。」
渚はまるっきり私のマネをして150円を受け取った。
赤坂くんは、今度は私の方を向いて言った。
「なぁ、渚。お前、今日オレん家来るだろ?」
「え・・・なんで・・・・?」
「なんでって、今日渚の両親出かけちまうだろ?だから晩ご飯食いにくるって言ってたじゃん。」
そうなの!?や、やばい。私ガチガチになっちゃうよーーー!
渚の方を見ると、渚は私にウインクした。
「う・・・ぅん。もちろん行くよ・・・・!」
どうしても渚みたいにスラスラと言葉が出てこない。その異変に気付いたのか、赤坂くんが顔をしかめた。
「・・・そっか。じゃ、来いよ。」
「オッケぇー」
まぁ、心臓は全然オッケーではなかった。嬉しいのか最悪なのかよく分からない。っていうか、渚うらやましい!いっつもこんな感じで会話出来るなんて。

赤坂くんが行ってしまうと、渚は私の頭にポンと手をのせた。
「ヨカッタじゃん。繭と会話出来てさ♪」
渚はクスッと笑った。私は渚のように余裕の笑みを浮かべなかったが、少し苦笑いをしてコクンとうなずいた。今起きたことがまるで夢のようだった。

私ははやく夜が来るのを心待ちにして授業を受けたのだった。

                              *つづく*