
「うわぁ・・・!やっぱりすっごい人だね!」
私たちは町の中央広場にあるお菓子屋さんへと急いだ。なんせ、ここのお菓子屋さんはものすごく人気だからすぐに売り切れてしまう。
「あ・・・なんだろ・・・?アレ。」
私は指をさして言った。渚がなになに?と覗いてくる。
ワゴン車の周りにたくさんの商品が並べられていて、中でも約50人くらいの人があつまっている所があった。・・・なにごと!?
「ゲッ・・・なにアレ!!気になるなぁ〜行ってみようよ、琴音!」
渚は私の手をグイと引っ張ってズンズンと行った。
「ちょっと・・・どいてくださぁ〜い・・・ごめんなさい。」
私たちは、手で人をかき分けてやっとの思いで1番前にたどりついた。
すると店主のおばあさんがこっちに寄ってきて言った。
「さぁさぁ、コレは魔法のチョコレートだよ。限定1箱しかないから、買うなら今のウチさ。」
「魔法の・・・チョコレート・・・・・?なにそれ?」
私は何がなんだか訳が分からず、つい声に出して言ってしまった。
「このチョコレートを食べると、何か不思議なことがおこるのさ。」
「え!一体何が起こるんですか!?」
渚が身を乗り出して聞いた。こういう”不思議”という言葉に、なぜが渚は敏感なのだ。
「それは食べてのお楽しみ。」
おばあさんはクックッと笑ってあたりの人たちを見回した。
「誰か買う人はいないかい?1ヶ月はもつよ!」
私ははじめ、その1ヶ月という言葉が何を意味するのかまったく分からなかった。ただの賞味期限かと思っていた。
みんなはざわざわし始め、「どうする?」という声が四方八方から聞こえてきた。
「ハイ!私が買います!」
私はギョッとした。なんと、渚が手を高々とあげて声を張り上げたからだ。
「渚、まさか買うの!?」
「ぅん♪だって面白そうだもん。」
面白そう・・・。なんて軽い子なんだろう。渚のこういうところが男子にはモテる。
結局、その魔法のチョコレートは渚のモノとなった。
「ねぇねぇ、ウチの家で、試しに食べてみない?」
渚がキラキラした顔で話してきた。これにはもっとギョッとした。
「え・・・・私も食べるの・・・?」
不安げに聞くと、渚はますますニッコリして、
「もちろん!」
と言った。ウッソぉー・・・・なんか、お先真っ暗って感じだよ・・・
私は渚の強引さに負け、渚の家に行くことにした。
家につくと、ドタバタと階段を駆け上がり、渚の部屋へ直行した。そう言えば、渚の家の前に赤坂くんの家があるんだよね・・・。妙にキンチョーしてくる。
「さ、食べよっか!2人同時に。」
渚は箱からチョコレートを2つ取り出して、1コを私の手に放り投げた。
「いっせーのーでっ・・・・で食べるよ?」
渚がゴクンとつばを飲み込み、私に言った。私は黙ったまま、コクンとうなずく。
「よし・・・。」
「「いっせーのーでっ!!!」」
私たちは同時に噛んで飲み込んだ。その瞬間、なにかドクンと体が振動し、私は気を失った。なんか、すっごくイイ気分だった。体中から疲れが抜けていく感じ・・・・。そして、数分して私は目を開けた。
目の前には、いつもと変わらない渚の部屋と・・・渚が・・・・・ん?渚がいない・・・?
私は急いであたりを見回した。が、渚の姿は見あたらない。しかし、振り向いて見ると私が寝ている。・・・・私が寝ている・・・・・・?
今の光景が信じられなくなって、目をゴシゴシこすった。
やっぱり私が寝ている。私は今度は鏡に目をやった。そこにはなんと、渚が立っている。手の大きさも・・・声を出してみると渚の声が聞こえてくる。自分の声ではない。汗がダラダラとにじみ出てくる。時が遅く流れていく。私は上手くこの状況を飲み込めなかった。時間がたっていき、だんだん話の内容が分かってきた。頭の中が整理されてきた。
私たちはまさか、入れ替わってるのでは・・・・?
それが分かったとたん、私は大きな悲鳴を上げて、目の前の私を揺すった。つまり、渚だ。
「ちょっと、渚!起きてよぉ!」
「う・・・・ぅん・・・?なに?」
渚はうう〜んと言ってから背伸びをして、私を見た。
「あんた・・・・誰よ?なんで私が・・・・・?」
渚は幻を見ているかのように目を細くしたり大きくしたりした。
そう。やっぱり私たちは入れ替わっていたんだ・・・・。
*つづく*



