魔法のチョコレート 第12話

「・・・・でさ、」
さっきまで私は赤坂くんを勇気づけていた。すっかり元気になった赤坂くんが言った。
「オレの・・・好きな人、渚に知ってもらいたくって。」
赤坂くんは悲しそうな、困ったような表情で言った。・・・なんで、そんな顔するの・・・?
「え・・・・そんなの・・・悪いよ」
私は遠慮がちに言った。聞きたくない、っていうのも原因のひとつ。
「なんだよー、前だったら、”教えてー!”って真っ先に来るじゃん。」
「う・・・」
それは入れ替わってるからだよー♪って言えたらなぁぁ!!!!
「ま、またそう言うところが良いんだけどなー」
赤坂くんはサラリと言った。私は心臓が高鳴ったが、赤坂くんは渚に向かって言ってるんだ・・・私に言ってるんじゃない。
「・・・分かった。じゃぁ、教えて・・・・?」
私はおずおずと聞いた。ドキドキしている・・・一体、誰・・・・?
「オウ・・・イイょ」

長い沈黙が流れた。心の準備っていうやつかな・・・・?
「よし」
赤坂くんは決心したように言った。
「オレの・・・好きな人は・・・・・」


「この人」


赤坂くんは誰かの机を指さした。あの席って・・・・
私は誰だったかなぁと考えた。


「え・・・・・・・」


誰の机か分かったとき、私は夢じゃないのか、と思った。
無性に悲しかった。・・・・どうして・・・?

その席は・・・・・なんと、





















「・・・・・・・私の・・・・・席・・・・・・・・」

そう、渚の席だったのだ。

「ぅん・・・・言いづらかったんだけど、やっぱ言っちゃおうって思って。」

赤坂くんは、まるで結果が分かっていたかのように、とても悲しそうな顔をした。
「渚に好きな人がいるって分かって、あきらめようと思ったんだ。だけどさ、その本人に励まされちゃぁ、仕方ないし。」
赤坂くんは力なく笑った。
渚の好きな人は、トオル。だけど、今の渚の体の中にいるのは、琴音。そんな事を心の中で連呼していた。入れ替わったままでヨカッタのに・・・とまで思った。しかし、それじゃあトオルが好きな渚があまりにも可哀想だ。
「渚にとってオレは、タダの幼なじみかもしれない・・・だけどオレ、・・・オレは本気だから」
真正面から見つめられると、口がついすべってOKしちゃいそうだった。
「じゃ・・・・オレ、先に帰るわ。」
赤坂くんはじゃーなと一言かけて、教室を出た。
教室に残った私は、今まで赤坂くんを好きだったことを後悔していた。実らない恋なら、初めからしなかったらヨカッタのに・・・・

涙がポロッポロッと流れ出た・・・
初めての恋、初めての失恋、・・・・失恋ってこんなに悲しいんだ・・・・私はそんな思いが頭を駆けめぐっていた・・・・

                               *つづく*