




「ねぇ・・・待ってよぉ!」
だがもう遅かった。尽はずんずん進んでいって戸を開けた。
「こんばんわぁ!!」
ちょっ・・・・声でかい!どうしよう。お父さんに見られたら、尽は生きて帰れないかも〜!
「お帰りなせぇ!お嬢・・・・ってあれ?」
「ゴルぁぁぁぁ!!!・・・誰だてめぇは!?今すぐ出て行け!」
みんなすごい形相でにらんでいる。しかし尽は、まったくうろたえてない。
「あっ・・・・あのね・・・私の友だちなの!」
私は尽が半殺し状態になるかもしれないと思って、急いでいった。
「友だち・・・・っすか・・?」
しかも男。女子ならまだしも、男となれば話はべつ。
「お嬢・・・」
哲がこっちに寄ってきた。
「やばいよね?お父さんにみられちゃぁ・・・」
「そりゃぁ・・・・そうっすねぇ・・・・」
するといきなり、哲の顔が真っ青になった。
「どうしたの?哲・・・・」
私は哲の視線をたどっていった。・・・・・・・げっ・・・・
「お・・・・お父さん!」
「オイ・・・璃緒。お前・・・・誰だその男はぁ!?」
ものすごく嫌悪感を感じる。ホントやばいかも。
私が説明しようとすると、すぐに尽が割って入った。
「すみません。僕・・・・あの宮城 竜郎(たつろう)の息子で、宮城 尽と言います。いきなりおじゃましちゃって・・・・あの・・・コレ、お詫びの印に・・・・どうぞ。」
そう言って尽はカバンから50万円ほど取り出して差し出した。
「宮城 哲朗・・・・って、まさかあの金持ちの・・・?」
お父さんはお金を見て目をまん丸くした。
「はい、そうです。」
おおおおー!という周りからの声と共に拍手喝采が起こった。
「なんでぇ・・・そうなのか!?いやぁ、娘を送ってきてくれてありがとよ!ちょっと上がっていきな!」
お父さんはしっかりお金をもらってニコニコして言った。
「はい。ではお言葉に甘えておじゃまさせて頂きます。」
尽は自分の靴を丁寧にそろえて上がった。
かなりこういうのは手慣れているらしい。
そんなことよりもっとビックリしたのが、尽があっというまにお父さんに気に入られたことだった。お金持ちってすごいけど、尽の言葉遣いとか、かなりイイ感じ。
尽がそろそろ家に帰りますと言って、外に出て行くのを見送ろうとしたら、お父さんに呼び止められた。
「オイ・・・璃緒。お前あの尽とか言う奴、しっかり捕まえろよ!」
「はい!?」
「将来結婚でもしたら、お金がザクザク入ってくるから・・・・・」
「はぁ・・・・・・」
お父さんって、っていうか、ヤクザの人ってみんなこんなカンジ!?お金になると目の色変わるっていうか・・・・
まぁ、とにかく大事にならずにすんでよかった〜・・・
「じゃぁ、見送ってくるから。」
「あの・・・ごめんね。あんな騒がしくて。」
今日のみんなの態度と来たら、尽さん!とか、宮城の兄貴!とか?みんなペコペコしちゃって!!
「いや・・・璃緒の家族すげぇおもしろいな!」
尽はニッと笑った。
あ・・・また笑った。なんか胸の奥の方でキュンって音がしたのは気のせい?
まぁ、もともとは好きだった奴だし、仕方ないかな・・・・
でも、やっぱり嫌い!性格悪いし。私はまだ認めないから!
「じゃ・・・また。」
「オウ。明日な」
そのとき、あり得ない出来事が起こった。尽が頬にキスしてきたからだ。
「庶民の家もおもしろいから、また来てやるよ!」
そう言って帰って行った。
私は言い返す気になれなかった。だって・・・顔が焼けるように熱かったから。
*つづく*