ゴクドー女×お坊ちゃん 第18話
「ただいま・・・」
私はドアをガラリと開けて中に入ったが、いつもズラリと並んでいるごつい顔の人たちがいなかった。哲もいない。一体何事・・・?
私はリビングに来た。・・・・・・・!?
「尽!!!」
なんで・・・なんで尽が!?ありえないんですけど!
あんまり驚いたんで、もうすぐでむせそうになった。
「お、お嬢、お帰りなせぇ!!」
哲が言って、その後にみんなが続いて言った。みんな、尽を囲んでいる。何が起きているのか、だいたい見当がついた。
「璃緒、話があるんだ・・・。」
バツが悪そうな顔をして尽がスクッと立ち上がった。私は話なんかありません。
「璃緒の部屋で話そう・・・」
尽が私の手首を掴んだ。・・・あのときと変わらないあたたかさ・・・。でも、心はそうあたたかくないだろう。
「私、今話したい気分じゃないんだ。」
「分かってる。」
分かってる・・・?分かっているのに、今こうして私をズルズルと連れて行くの?
「30分だけだ・・・。たのむ。」
どうせ、別れ話かなんかでしょ。決着をつけようってわけだ。
私は長いため息を吐いてから言った。
「分かったわよ。30分だけね・・・。」
「ありがとな。」
前のような笑顔は見せない。ものすごく真剣な顔で・・・悲しそうだ。
尽は私の部屋にはいると、私をベッドの上に座らせて、そのトナリに尽が座った。
「で、話ってなに?」
私がはじめに切り出した。
「あのさ・・・ホント、悪かったよ。」
わざわざそれを言いに来たとか・・・?まさか、そんなことはない。
「ウンウン。あそこまで私をこけにしてくれたんだもん。謝るのはトーゼン。」
もう悲しさなんかどこにもなかった。吹っ切れていた。そして、逆に怒りがわいてくる。
私の言葉を聞いたとたん、尽はますます反省の顔をした。
「確かに、オレは璃緒をオモチャ扱いしてたんだ。」
・・・・分かってたけど、やっぱりきつい一言だった。胸がチクッと刺された気分だ。
「ま、オレのオモチャになってくれって言ってたもんね。その時点で私はノーって言ってればよかったわけだ。ゴクドーだってばらされたとしても。」
普段はこんなにガンガンとイヤミを込めて言ったりはしないけど、今はとにかく腹が立っていた。
「でも、オレ・・・・・璃緒のこと好きだ・・・・。」
「はい?」
「オレ・・・本気で璃緒のこと好きなんだって。
お昼のとき、あれは璃緒をかばう為に言ったんだ。あのまま付き合ってるって言ったら璃緒が危ないだろ・・・?」
「ウソはもうじゅうぶんだから。ウンザリ。」
ウソをつかれるのは1回だけでいい。それにだまされるのも。
「ホントなんだよ!!信じてくれ!そりゃ、オレはかなりひどいことをした!だけど、本気だ・・・。」
どうしてもその言葉が信じられなかった。体が、心が、拒否してる。
「私は、本気じゃない。もう1回あんなにひどいこと言われたら、絶えられない。」
「もう言わない!マジで・・・・本気で好きなんだよ・・・!」
手をギュウと強く握りしめられた。胸がどきんとなったが、私は気付かないふりをした。
「それ聞くの2度目だから。」
冷静な口ぶりで言ったが、内心はガチガチだった。そして、涙がちょっと出そうになったのもこらえた。
すると急に、尽が私の頬に手をふれ、涙が伝った後をぬぐうようにした。
「ゴメン・・・」
尽が言う。
すごく心のそこから幸せかんが満ち足りてくるのを感じた。私・・・信じちゃっていいの・・・・?尽を・・・・・・・いや、まだ信じるわけにはいかない。
「やめてよ!」
私は力いっぱいはらいのけた・・・
*つづく*