ゴクドー女×お坊ちゃん 第19話

「はぁ・・・はぁ・・・」

別に激しい動きをしたわけでもないのに、私はゼエゼエ言っていた。

「璃緒・・・・・・」

尽がジッと見つめる。この突き通すような瞳、ドキッとする。

「私・・・2回もだまされないからね。」

やっとの思いで声を絞り出した。体中が震えて、声まで震えている。

「今は本当のことを言っているんだ。」

「ウソ。この前だって同じような口ぶりで口説いたくせに・・・。」

信じられるはずがないよ。もうこれ以上、あんなみじめな思いはしたくないもん・・・

「信じて・・・くれないのか・・・・?」

尽はさっきよりも力強い声で言った。

「あ・・・当たり前でしょ!」

「璃緒だってオレのこと好きじゃん・・・」

「はぁ!?バカ言わないでよっ。んなわけないでしょ!尽なんて、お断り!」

あっ・・・ちょっと言い過ぎたかも。ううん、尽の方がよっぽどひどい。

「じゃぁ、なんでこの前はオーケーしたんだよ?」

「うっ・・・・」

言い返せない。言い返せるわけない。事実、私は尽のことがすっごく好き。今でもあきらめられない。でもね、私は2度もひっかかるようなバカではないんだから。

その表情を見て、尽はこっちに少し近寄って言った。

「本当は・・・すっげぇ悲しかったんじゃねぇのか?」

また・・・じわりと涙が溢れてきた。私は目をこすった。泣いてる所なんて見てほしくない。しかし、私は思っていたこととはうらはらに、全然違うことを言った。

「そりゃ・・・・悲しかったよ!」

そして、出てきてほしくもない涙がどんどん溢れ出てきた。気付いたときには泣いていた・・・。

「私・・・・信じたくなかったよ!廊下で話していた言葉が!
 さっき尽が『私をかばう為』って言ってた言葉を信じたいって思う・・・・。」

「ゴメン・・・ゴメンな!」

尽は、今度はふわっと涙をぬぐって私の両手を包み込んだ。

「尽・・・」

突き飛ばす気になれなかった。尽の体が震えてて、いつまでもゴメンと言い続けていたからだ。ここまで謝る人、初めて見た。いつも私の為にこんなに謝ってくれる人なんていなかった。そのせいか、私は尽のことを許せる気分になっていた。

「オレっ・・・なんで女子の前で本当のことを言わなかったんだろう!璃緒が傷つくなら本当のことを言えば良かったんだ・・・・マジでバカだなオレって!・・・璃緒が好きなのに・・・」

「ね・・・今の好きって・・・本気でしょ?」

私は聞いた。どうしてもそれが知りたくて・・・。

「当たり前だろ!本気で好きだ!」

「・・・うれしい」

私は小さな声でボソッと言った。尽にはもちろん聞こえていただろう。だって、尽の腕がさっきよりももっと力がこもったから。

「私も・・・尽が好きだよ」

「おーい、璃緒。入るぞー。」

コンコンっとドアが鳴って、お父さんが入ってきた。

「「あ」」

3人とも一斉に口をあんぐり開ける。尽はサッと握っていた手を離して顔を赤くした。

「おめぇら・・・・一体どういうカンケーなんだコラぁぁぁぁ!!!」

お父さんがヒステリックになっている。なんとかしなくちゃ・・・!

「お・・・お父さん!尽と私は付き合ってるの!」

自分で言うと、ものすごく恥ずかしい。

「なんだと・・・・そうなのかぁぁぁ!?」

ダメだ。さっきよりももっとやばくなっちゃった。

すると尽がスッと前に立って言った。

「お父さん、僕、璃緒さんが好きなんです!」

「へ・・・・・?」

なぜがピタッと叫び声がやんだ。

「コレ、おわびのしるしに・・・」

尽がお父さんに封筒を渡した。お父さんはしぶしぶ眺めてから受け取って中身を見た。

「・・・・おおおおお!!!」

中にはまたまた50万円ほど入っていた。っていうか、なんで持ち歩いてんの。

「オイ、璃緒!交際、認めた!」

はぁぁぁ!?なんじゃそりゃ。って感じだ。

尽はこっちを向いてニッコリ、あの笑顔で笑った。私も笑い返した。

お父さんは喜んで何回も札束を数えている。

お父さんがもっとくれ!って言ってくるのも時間の問題、かもね♪

                           *終わり*