




「父上、どうぞ入って下さい。」
尽は言った。コイツ・・・・まさかとは思うけど、私にだけ態度違うとか?だって、お父さんにまで敬語使ってるし。オイオイ、尽くんどういう意味だ?
お父さんが入ってきた。尽がお父さんの方に走っていった。
「父上、今日は僕の友だちがいるんです。」
「なに?そうなのか?初めてだな・・・。」
尽のお父さんと私の目が合った。う・・・うわっ・・・よくテレビで見る、あの宮城さんだぁ!
「この子・・・・・か?」
尽のお父さんが私を見たまま尽に聞いた。
「ハイ。そうです。」
「か・・・・・・可愛いお嬢さんじゃないか!!!!」
そう言って私の方にとんできた。これにはビックリ。テレビではすっごいクールだから・・・・。
尽のお父さんは私の服装を見て、顔をしかめた。
「このお嬢さんは・・・・庶民の方なのか?」
眉がさっきよりもつり上がっている。
「いいえ。ちがいますよ。」
「でも・・・・なんか、庶民みたいな格好をしているではないか?」
すみませんでした。こんな服しかなかったんです!ああぁ、恥ずかしい。
「この子は、あの有名なヤクザ、並木家の娘さんです。」
尽は台本を暗記してるみたいに、スラスラ言った。いや、まてよ。もしかしたら本当に台本を暗記してるのかも。
「なに!?あの並木家の!?」
それを聞くと、尽のお父さんは顔を輝かせた。
まぁ、当たり前だろう。言い忘れてたけど、私のお父さんはヤクザの中でもトップクラスだ。それに、お金持ち。お金持ちなんだけど、私はあんまりドレスっぽいモノはほしいと思わないから買わない。そのかわり、私立に行きたいとお父さんにたのんだのだ。お父さんはかなりの親バカだから、ほしいって言ったらある程度買ってくれる。だけど私はそんなにモノねだりはしない方だから、お父さんはときどき子犬みたいな目をして見てくるときがある。
おっと、こんな私の話しても時間のムダだ。
「それにしても・・・君たち、いつ結婚予定してるんだ?式場は?」
尽のお父さんが、目をキラキラさせて私と尽を交互に見た。
私はもうすぐで、すっころんで大理石の床に頭をぶつけるところだった。
尽もどうやら同じ事になりかけたみたいだ。
「ち・・・父上!?いえ、僕たちは友だちですよ!?」
尽にしては、珍しくあせっている・・・ん?顔が真っ赤になってるって言った方がいいかな?
「なんだ?そうだったのか?」
なぁんだ・・・・と言う顔をして尽のお父さんはため息をついた。
「おお、もうこんな時間か。」
尽のお父さんが腕時計を見た。この腕時計、かなりの値打ちモノだ。ダイヤモンドが入っている。(キャー)ったく、無駄遣いにしか見えない。
「仕事に戻らなくては・・・・じゃ、尽。それと・・・・えっと・・・・」
私の方をちらりと向いた。
「あ、私、並木 璃緒って言います。」
「璃緒さん!可愛らしい名前だ!じゃ、また機会があれば!」
そう言ってあわただしくドアを開けて出て行った。
「・・・・おもしろいお父さんだね。」
「まぁな。」
尽はもとの言葉遣いに戻っていた。っていうか、一体どっちがホンモノの言葉遣いなのか分かんないんだけど!
「オレ・・・さっきあんなこと言ったけど・・・」
「あんな事??」
って、なんだ??私の頭の上にハテナが丸見えだったのか、尽が気付いた。
「だから、ただの友だちだってこと。」
「ああ・・・・・あれ。・・・・って、え!?」
どういう意味!?まさか・・・・・そのまさか!?
「璃緒・・・・前から分かってただろうけど、オレ、璃緒のこと好きだから。」
や・・・やっぱり!!!!!私の思った通りだったじゃん!
っていうか・・・・返事・・・・・・・・・「ノー」??ううん、なんかそれじゃぁモヤモヤする。私、今気付いたけど顔が真っ赤だし、心臓なんかバク宙しちゃってるくらいじゃん!私も前からうすうす気付いてたけど・・・やっぱりコレって・・・・?
*つづく*