




「並木さん♪」
忘れてた・・・陽平くんのこと。尽の言葉が頭から離れなくって、陽平くんが家に行くと言っていたこと、すっかり忘れてた。
「よ・・・陽平くん・・・・」
それに、私の家はヤクザの家だ。それを見た瞬間の陽平くんの顔がなんか目に浮かぶようだ。
「あの・・・ね、ちょっと今日は用事があってさ・・・」
しかし陽平くんはまったく聞いてない。だって尽とにらみ合いしてたから。
尽が目配せをした。どうせ、「断れ」って言ってるんだと思う。でもどうやって断ればいいの!?
尽とのにらみ合いを終わらせ、陽平くんはニッコリ笑顔で言った。
「いこっか?並木さん。」
「だからね、陽平くん・・・・・」
聞いてもらえなかった。陽平がムリに私の手を握って教室を出たから。
歩いている途中、どんどん陽平くんの手の力が強くなるのを感じた。まるでどこにも行かないでほしい。みたいに・・・
そして、なぜが校舎の裏につれてこられた。なんだか、このごろこんなのばっか・・・
「ねぇ、並木さん」
陽平くんが真剣な顔してこっちを見つめている。
「オレと宮城・・・どっちが好きなんだ?」
「え!?」
「恋愛とかじゃなくて。」
どっちって言われても・・・・目の前には陽平くんがいるのに、私はなんか別のことを考えてボヤッとかすんだ。
頭がクラクラしてきた。なんて言えばいいの!?
「もしかして・・・オレのこと嫌ってる?」
陽平くんはジリジリと寄ってきた。心臓がドクドク鳴り始めて、うるさい。
「そうじゃないけど!」
「じゃぁ・・・なんで避けてるの?」
う・・・それを言われるとまた困るんだけど。尽に言われたから。なんて言っちゃったら誤解されるし。
「それは・・・・」
「それは?」
もう陽平くんとの間もそんなにない。30センチくらいしか離れてない。
「てめぇな・・・・!」
陽平くんの後ろから尽の声がした。
バキッ・・・・・
見てみると、陽平くんの頬が尽の握り拳によってめり込んでいた。
「尽!ちょっと・・・なにやってるの!!」
尽が陽平くんに勝てるはずがない。だって相手は学年1のスポーツ万能な人なんだよ?
「尽ってば・・・・・!」
もう遅かった。陽平くんは、
「なにするんだ・・・・っ」
と言って尽の足に自分の足をかけ、尽をひっくり返した。そして上にのしかかると、思いっきり殴り始めた。
「陽平くん!尽は今体の調子が悪いのに・・・」
いくら言っても止めようとはしない。このままじゃ・・・・尽が!
仕方がない・・・私がなんとかするほかないみたい。
私は覚悟を決め、2人の方へ向かった。
まず、陽平くんの腕をつかむ。そんでもって、尽からのかせる。
尽はもう半分気を失っていた。
「並木さん・・・なんで止めたんだよ!?決着付けようと思ったのに!!」
そう言って陽平くんはまた殴ろうとした。が、私がまた食い止めた。
「並木さん・・・」
私を振り払おうとしているけど、ムリムリ。いくらあがいたって。
「陽平くん。決着なんて付ける前に、その相手の健康状態を確認してからにしてちょうだい。」
私は陽平くんの手を離して、尽をオンブした。そのとき、初めて分かった。
コイツ・・・熱があるじゃん!!!なのにムリして・・・・
「じゃ、尽は連れて帰るね。」
「並木さん!」
求めるような声を出したけど、私は無視した。尽の顔をチラッと見て、すごく腹が立ったから・・・・・
*つづく*