




「熱はないみたいね・・・・。うん、ちょっと安静にしていれば大丈夫。この時間が終わったら戻って良いわよ。」
「ありがとうございます。」
亜麻音はホッとため息をついた。また有間のトナリなんてご免だから。
「いぇいぇ。それにしても、桑田くん、ご苦労様。」
「本当にご苦労でしたよ。」
桑田はため息をついた。さっきからなんどもしている。
「あら。桑田くんもお疲れ気味かしらね?休んでいった方が良いわ。」
「結構です。」
「なんで。あなた顔色よくないわよ?」
確かに、少し顔色が良くなかった。日記の中に入って疲れているみたいだ。
「もとからこんな顔色ですから。」
保健室の先生にウソは通用しなかった。
「そんな顔色はありません。血色が悪すぎるでしょう。」
「イヤ、でも・・・。」
「ハイハイ。ソファに座りなさい。」
先生は桑田を亜麻音の横に座らせた。
桑田は「なんで須川の横・・・・?」とボソッと言った。
どういう意味だそれは。亜麻音は内心ふつふつと怒りがわいてきたが、ここにいられるのも桑田のお陰だと思いとどまった。
先生は机に向かい、なにかの書類をホッチキスで止め始めた。
「ゴメンね。」
亜麻音が桑田にそう言うと、桑田は
「何が?」
とわけが分からなさそうに言った。
「だって、日記の中に巻き込んじゃったもん・・・。そのせいで桑田はやつれてるし。」
「まぁな。」
「だからゴメン・・・・」
「・・・・」
しばらくして桑田が言った。
「別に気にしてない。オレ、結構タイムスリップ楽しんでるし。」
とてもそうには見えないけど。
「オイ、今『とてもそうには見えないけど。』って思っただろ。」
「え。なんで分かったの!?」
「さぁ。」
「でた。お得意の秘密主義。なんで教えてくれないの!?」
「・・・・・」
桑田は亜麻音の問いに完全ムシした。
ま、いつもの事だけど。
数分後
キーンコーンカーンコーン・・・
チャイムが鳴った。
「先生、どうもありがとうございました。」
「じゃ、お大事にね。桑田くん、ムリしちゃダメよ。」
桑田はぺこっとお辞儀してスタスタと歩いていった。
「ちょっと、待ってよ〜〜」
亜麻音は小走りで追いかけ、桑田の横に並んだ。
「ハァハァ・・・」
「ちょっと走ったぐらいで息切らすなんて、よっぽど体力ないのか・・・?」
桑田はバカにした目で亜麻音を見ながら言う。
「失礼な!・・・・そういえばまだ言ってなかったよね。とにかく、今日はありがとう。」
「別に」
「ホント桑田のお陰で助かったんだよっ」
「へぇ」
・・・無愛想。 でも実は優しいんだよね。
亜麻音はニヤニヤしながら桑田を見た。
「なんだよ。」
「べつに〜♪」
「あ、そ。」
「えー!もっと興味持たないの?もっと答え楽しみにしてたのに〜!」
「興味ねぇし。ってか、そんな感じの事言うの今日で2度目だな。」
「そうだっけ?」
そんな会話をしているといきなり目の前に森と佐和が現れた。
「あ、亜麻音!心配したよ〜〜〜。大丈夫?」
「バッチリ!!大丈夫だよ」
「桑田くん、ゴメンね。本当なら友だちの私が行くべきなのに・・・。」
「別に。」
桑田はまた無愛想な返事をした。
その様子を見て、佐和はフフッとほほえみ小声で亜麻音に耳打ちした。
「桑田くんって、案外優しいところあるのね。」
「そうそう。結構優しいんだよ〜。無愛想だけど」
亜麻音と佐和はクスクスと桑田を見ながら笑った。
「なんでオレ見て笑うんだ?」
「べつに〜♪」
「あ、そ。」
またこのパターンですか。
*つづく*