「・・・で。」
桑田が口火を切った。
「ん?」
亜麻音はポテトをほおばりながら答える。
「オレら、この後どうすんの?」
あのあと、何事もなく放課後になり、こうして桑田と亜麻音はマクドナルドに来ている。
なぜこの2人だけがここにいるのかというと・・・
〜数時間前〜
亜麻音が帰る用意をしていると、佐和が亜麻音の方にやってきた。
「亜麻音!今日弟たちの面倒見ないといけないの。ゴメンね」
それだけ言い残すと足早に佐和は行ってしまった。
佐和の母親は看護婦、お父さんは大学の先生と2人とも忙しく、しょっちゅう佐和が3人の弟の面倒を見ている。
どうやら今日もそのようだ。
すると次は、森と桑田の会話が亜麻音の耳に入ってきた。
「なぁ桑田。オレ今日塾だから、ゴメンだけど1人で帰ってほしい。ゴメン」
「別にいいけど」
「まったく、補習なんて行きたくないんだけどなぁ」
苦々しく森が言う。
「まぁ森、そう言わずにがんばれ」
「分かった。じゃぁなー」
「オウ」
ふーん、桑田も1人かぁ。
亜麻音は財布をのぞき込んだ。マクドナルドの券がどっさり入っている。
「ねぇ桑田〜」
「・・・・なに?」
「マクド行かない?」
「は?なんで。須川と行ったら周りから変な目で見られる・・・」
「どういう意味ですか。・・・・まぁいいけど。」
亜麻音はマクドナルドの券を桑田に見せた。
「全部今日までなんだよね。だから、お願い!」
「・・・分かったよ」
とまぁこんな感じで今マクドナルドにいるわけです。
「この後って・・・?」
「とぼけんな。オレら今日記の中だろ。」
「ああ!!そういえば」
桑田はその様子を見てやれやれと首を振った。
「どうやってもとの世界にもどれんだよ?」
「えっと・・・佐和が今日の分の日記を書けば戻れるんだけど・・・」
「そうか。んで、桜井はいつその日記を書くんだ?」
「さぁ・・・・」
「さぁって・・・・お前なぁ」
「だって、本当に分かんないんだもん!!佐和がいつ書くかなんて。」
「・・・じゃあ今からケータイに電話して書いてもらうようお願いすれば?」
「ムリ!!だって、今の私は佐和の日記の存在知らないから、そんなこと言えば変に思われる。」
「・・・・マジかよ」
亜麻音と桑田はそのままうつむいた。
しばらくするといきなり体に変化が現れた。
「あ、・・・桑田!!佐和が日記書き終わったみたいだよ!」
亜麻音は顔を上げ、桑田を見た。
「みたいだな」
周りの景色がグルグル回転しだした。そして・・・
「ぅ・・・ん・・・?」
目を開けると自転車置き場にいた。
「どうやら、戻ったな。」
「うん・・・良かった〜〜〜!」
もし戻れなかったら桑田になんて言われる事やら・・・。亜麻音は胸をなで下ろした。
「えっと、今日はゴメンね。迷惑かけて。」
亜麻音は自転車に乗りながら桑田に言った。
桑田の方も自転車に乗ろうとして、そして一言。
「すっげー迷惑だったよ」
「うぅ・・・グサッと言わないでほしいな・・・・。」
しばらく沈黙が流れたあと、
「ほら、行くぞ」
と桑田が口を開いた。
「へ?行くって?」
「帰るぞって意味だけど。お前帰らねぇの?」
「帰る帰る!!」
亜麻音は急いで自転車をこいだ。
「はぁー、今日は大冒険だったねぇーー♪」
「・・・・・」
「無口だなぁ。」
「・・・・・」
そのあとは何も話すことがなく、とうとう亜麻音の家の前についた。
「あれ?桑田の家って、この辺だったっけ?」
ふと亜麻音が疑問に思い、口にした。
「違うけど。」
「・・・そっか。ありがとう。」
「じゃあな」
そう言って桑田はUターンして行ってしまった。
”じゃあな”・・・初めて友だちみたいなこと言ってもらったかも・・・
それに、家まで送ってくれたし。さっきはそんなこと一言も言わなかったけど、それぐらいは分かる。
亜麻音はフッと笑って家に入っていった・・・。
*つづく*
