「わ・・・!本当にまた戻っちゃった!!!!」
亜麻音は声を張り上げ、手に持った手帳を見ながら驚喜した。

周りには人・人・人。みんなクラスメイトが美術室に入っていく。つまり、今から美術の時間ってことか・・・。
亜麻音が物思いにふけっていると、横から桑田がオイと呼びかけた。
「んー?どうしたの、桑田?」
「どうしたもこうしたもねーだろ。ここ、どこだよ」

あ・・・そっか、桑田もいっしょにタイムスリップしちゃったんだっけ。

「えっとね、ここは6月2日の美術室。」
「ふざけんな」
んなもん信じられるかというように亜麻音をにらみつける。
「ほ・・・本当なんだってばー・・・・だってね・・・」

亜麻音はいままでのいきさつを細々と桑田に話し始めた。話し終わると、

「ふーん。で、オレがそんなの信じるとでも?」
「そんなー!信じてよー。」
涙声になりながら亜麻音が弱々しくお願いのポーズをとった。
「・・・・てめー、ブリッコか。」
「だって!信じてくれないじゃん。」
そう言うと、桑田はコツッと亜麻音のおでこを小突いて、
「ウソだよ。須川ってウソつくの苦手そうだし。」
「え・・・」
「ほら、お前の親友。こっちに来るぞ。」
桑田が指さした先には確かに佐和の姿があった。


「あ、亜麻音〜!」
亜麻音を見つけると、佐和は手を振りながらこっちへ来た。
「先に行ってたんなら言ってよ・・・・って、あれっ?」
佐和は2人をジーッと見つめて不思議そうな顔をした。
「亜麻音って、桑田くんと仲良かったっけ?」
「え・・・?あ、ウン。この前のカラオケでね」
「そうなんだ〜。あ、森くん・・・・。」

森が桑田の方にやってきた。
「オイ桑田。お前先に行ってるんだったら・・・・って、ん?」
佐和とまったく同じリアクションで2人を見つめた。
「桑田って、須川と仲良かったか?」
「イヤ、まったく。」
と桑田。
「ちょっと、まったくって事もないじゃん!ひどいなあ。ねぇ、佐和?」
亜麻音が佐和に話を振ると、佐和は
「そ・・・うだね。」
と言う。佐和はさっきと別人のようになっていた。なんていうか、心ここにあらずっていうの?
佐和の顔を見てみると、顔が赤くなっていた。

あ・・・・・

このときの佐和はもうすでに森が好きなんじゃないのか?亜麻音はふとそう思った。
顔は赤いし、目は森の方に釘付けだ。うん、絶対に好きだと思う。でも、本人は気付いてないかもだけど。(鈍いから?)

「あ、もうそろそろチャイム鳴りそう・・・ホラ、教室入ろう。」
森が腕時計をのぞき、亜麻音たちをうながした。



「ハイ、じゃぁ今日はトナリの席の人とペアになって似顔絵描いていきます。」
美術の先生(30歳の女性、独身)が言った。

トナリって・・・ゲーッ!クラスで一番キモイしオタクな有間(ありま)だ!!!そ、そんな・・・・

佐和の方をチラッと見ると、トナリは日記通り森だった。日記通りにいくと、佐和は私に席を譲ってしまうんだよねぇ・・・。
ダメダメ!そんなのぜーったいにダメ!!私が佐和の恋を応援するのに、私が応援してもらってどうするの!!!

そんな感じで1人で盛り上がっているとトナリの有間が肩をトントンと軽くたたいてきた。
「なに・・・??」
「よろしくな♪」
「はぁ・・・・。」
亜麻音がため息混じりの返事をすると、
「ちょっと・・・そう言われたら、よろしくお願いしますvvご主人様♪って言ってくれないとなぁ。」




きっっっっもぉーーーーーーーーい!!!!!!!!!


なに、なんなのこいつ!!?オタクとは聞いていたけど、秋葉系だったとは!
そういえば、この日こんな事言われたような記憶あるような・・・。思い出したくないから心の奥に閉まっておいたんだっけ。

にしても、さ。ホンット最悪。もう最悪最悪最悪・・・・。
こんな奴の似顔絵なんか描いてたらキモすぎて手が動かないくらいだって!!!!


・・・どうすればいいの?

ダイアリー 第7話