ダイアリー 第6話

「ん・・・ここ、どこだろ・・・・?」
亜麻音が体を起こした。
「さぁ・・・・?分からない・・・・。」
佐和も体を起こす。
「あ、見て佐和!黒板の日付。9月11日・・・・日記の中に入る前の日付だよ!!」
「ホントだ・・・。」
「ほら、佐和。日記開いてみて!!」
「そ、そうだねっ」
佐和はパラパラと日記帳をめくっていった。
「あ。日記の内容が変わってるよ。森くんのアドレスもちゃんと書いてある!」
「・・・・やったじゃん!!!!」
「うん!」
亜麻音は興奮状態で、佐和はケータイをパカッと開いた。
「森くんからメールが来てる!」
「うっそ!マジで!?」

  -こんちわ〜。メアド変えたから、登録よろしくなっ
    そうそう、冬休みそっちに行けそうだから、またみんなでカラオケ行こー♪-

「わ〜〜〜。冬休み来れるんだー!ヨカッタね、佐和!!」
佐和は声を出さずにうんうんうなずいた。言葉にならないような言葉で何か嬉しそうにボソボソ言ったが、亜麻音には聞こえなかった。

「・・・それにしても、どうして私たち日記の中に入っちゃったんだろうね・・・・?」
佐和はケータイを閉じると、いきなり切り出した。
「そうそう、私もそれは疑問に思っていたんだよね。フツーにありえないことだもん。」
「しかも、過去を変えることだってできたんだよ!ホント、私たちすごいね!!」
「うん。マジですごすぎだってー!!」
2人はしばらくの間、その話で盛り上がった。
亜麻音はふと時間を見てみると、もう6時を回っているところみたいだった。
「わ、もうこんな時間だし!!あ、そうだ佐和。」
「ん?」
カバンを背負いながら佐和は頭を亜麻音の方に向ける。
「その日記、貸してくれない?どうして入れるようになったのか、調べてみたいし・・・」
「あぁ、うん。いいよ」
亜麻音に日記渡した。

下駄箱に来ると、佐和は『じゃ、また明日!』と言って歩いて帰っていった。
亜麻音は電車通学なので、自転車置き場の方へと急ぐ。

亜麻音は自転車置き場に向かう途中、佐和の日記を開いた。
すると、6月2日のところで手が止まった。
その内容は____ 


  今日、美術の授業で目の前の人の似顔絵を描くことに。私のペアは森くんだったんだけど、亜麻音にゆずっちゃた♪
  亜麻音ったら、ものっすごく顔を輝かせて嬉しそうに『しょうがないなぁ・・・』なんて言いながらww
  ホント可愛いんだから〜・・・って、私、なんかおばさんっぽいかも!?とにかく、亜麻音が喜んでくれてうれしいな。


だった。ホンットに、私ってわかりやすいタイプだ・・・。
亜麻音は心底自分に腹が立った。
それにしても、佐和って本当に本当に優しい。優しすぎて、人が良すぎてダメなんだよ・・・。
感心しつつも、少しあきれる亜麻音の目に、桑田の姿が目に入った。
「あ・・・・須川。」
自転車を動かそうとしていた桑田の手がピタッと止まる。
「・・・どうした、あきれたような顔して。」
「な・・・・っ・・・なんで分かったの!??」
「さぁ?」
意味ありげな顔 −少なくとも、亜麻音にはそう見えた− で桑田は無表情に言った。

「なんだ、その大事そうに持ってる手帳。」
「ん?あ、コレ?なーんでしょう?」
亜麻音はさすがにコレまでは分かるまいと、ニヤニヤしながら言う。
「あ、そ。別にどーでもいい。」
「え。何それ。ひどくないですか?私、結構答え楽しみにしていたのに。」
がっかり言う亜麻音に向かって桑田は、
「知らね。」
と言うだけだった。

「・・・ねぇ桑田。」
「は?」
「私、この日に戻りたいな・・・・。」
日記を持つ亜麻音の手に力がこもる。
「そんなのオレに関係な・・・・・」
そこまで言うと、2人の体に異変が起きた。まさか___と亜麻音は興奮した。一方、桑田は意味不明だ、という顔でボーゼンとしている。

グルグル回転して・・・・そして・・・・
次に目を開けたときには、美術室の前だった。

                              *つづく*