




「じゃぁ次私が歌うー♪」
ある女子が言った。この後この子は大声で熱唱するわけだが、そのことは今ここにいる人は知らない。亜麻音だけだ。
・・・未来から来たからだが。
ここはカラオケボックス。大人数なので、15人用ボックスを2つ使って15人、15人で二組に分かれた。
『私こっちの森チームでいいよ!!ね?佐和♪』
『え!?・・・・そ、そうだね。』
『ん?じゃ、お前らこっち来いよ。』
『は〜い』
とまぁこんな感じで、なんとか森と佐和が一緒にいられることに成功☆しかもトナリの席までGET!!!
「よかったね、佐和!!」
亜麻音が小声で言うと、佐和は少し顔を赤らめて
「ありがとう。もうホント亜麻音のおかげ!!」
と嬉しそうに言った。
「あのね、あのあと私、森くんと一緒にこっちへ来れたんだ。『一緒に行かない?』って言ったら、『いいけど〜』って♪
こっちへ来ながら色んな事話してさ、森くんの色んな事分かっちゃったよ!」
「おお〜^^それはそれは。私も嬉しいな〜」
そんな会話をしていると、森がズイッとマイクを差し出した。どうやらさっきの子が終わったみたいだ。
「オイ、なんか歌わねーの?」
「ンんー??そうだな・・・あ、佐和歌ったら?上手じゃん。」
「え!私!?」
「おー、いいかも。オレ聞いてみたい気もする。」
ニッと笑って森が言ったモノだから、佐和はしかたなく歌うことにした。
「何の曲にする・・・?」
佐和が亜麻音に聞く。
「え、好きな歌でいいよ!さ、自信もってー!!」
「分かった。」
ニコッと笑顔を見せて曲を入力しだした。
佐和って、ホンット歌上手なんだよなぁ〜・・・。惚れ惚れしちゃうくらい声がきれいで、つい聞き入っちゃうんだよね。
佐和はマイクを手に持って歌い始めた。
佐和が歌い始めると、一気に室内がシーンとなり佐和の歌声に耳を傾ける。
「すっげぇきれいな声だな・・・。」
森がぽつりとつぶやいた。森の目には、佐和がくっきりと浮かんでいる。
そのトナリで桑田は興味なさそうに眺めている。
一体何しにきたんだか。
佐和が歌い終わり、周りは拍手でいっぱいになった。
「佐和、すっごいきれい!!!」
女子がキャーキャー言って歓声を上げ、男子はホ〜・・・と関心するばかりだった。
「へぇっ、桜井って歌上手いんだな!」
トナリに座った佐和に森が話しかけた。
「歌、小さい頃からずっと好きだったんだ。」
「そっかー。オレも歌好きなんだよな!一緒だな!!あ、さっきの曲いい曲だよな〜」
「うん、私アレ一番好きな歌で、いつもカラオケ来たら歌ってる。」
「オレもオレも!マジであの曲歌うと気持ちいいし!」
「そうそう」
佐和と森はそう言って会話がはずみ、気付いたときにはもうずっと曲について話していた。
亜麻音はそっと席を離れ、外へとでた。
外は案外涼しく、室内は熱気でムラムラしていたものだからありがたかった。
「はぁ」
無意識にため息をついた亜麻音はズキズキ痛む気持ちをまぎらわすようにもう1度深いため息をついた。
「やっぱ、きついよね。好きな人が他の子と仲良くするのは。」
「なんでそんなことしてんだよ?」
いきなりの質問で亜麻音は心臓が飛び出しそうになった。
「く、く、桑田!!!」
「なんだよ・・・・」
「び、び、び、ビックリするでしょ!!死ぬかと思った!!!!」
「死んでないから大丈夫だろ。」
「そういう問題じゃないし!!」
「どういう問題だ?死ぬ以上の問題なんて存在するのか?つーか、質問に答えろって。」
「・・・・」
亜麻音は黙った。言いたくなかったのだ。
「じゃ、オレが当ててやる。友人にゆずって自分の恋は捨てたんだろ。」
「なんで・・・・・!」
「見てれば分かるし。」
フンと鼻をならし、桑田は微妙に笑った。
「なによ・・・。いいの!私はこれで。」
「本当に?」
亜麻音はハッとした。桑田が亜麻音の手を掴んでいたからだ。
「桑田・・・?」
*つづく*